盲学校Q&A

T 視覚障害と視覚障害教育について

  1. Q
    Q1. 盲学校では、通常の学校と同じように小・中・高校の学習を行っているのですか?
  2. A
     盲学校は、視覚に障害のある幼児・児童・生徒が学ぶための学校ですから、それぞれの視覚障害の実態に応じた教育を、年齢段階に応じて行うことができるようになっています。八王子盲学校には、幼稚部、小学部、中学部、高等部普通科、高等部理療科があります。(学部の設置は盲学校によって異なりますので、すべての学校にすべての学部・学科があるわけではありません。)幼稚部から高等部普通科までは、通常の学校と同じように教科の学習を行うほか、障害によって困難な部分を補うための「自立活動」という授業を行います。盲学校の教育内容は、幼稚部から専攻科まで幅広く、また使用する文字が点字であったり拡大文字であったりすることはありますが、教科の内容については通常の学校と大差はありません。高等部理療科はあん摩・マッサージ・鍼・灸の施術者として、国家資格の取得を目指す職業課程で、教養科目とともにそのための専門科目を学びます。高等部理療科には社会で働いている時に視覚障害となった方も在籍しており、幅広い年齢の方が通っています。
  3. Q
    Q2. 盲学校では、どのようなことに配慮した教育を行っているのですか?
  4. A
     幼児・児童・生徒の見え方はさまざまです。場面や内容によっては見えづらいこともありますので、教室の明るさを調節したり、必要に応じてパソコンや拡大読書器、音声化のできる機器などを用いながら、できるだけ見やすくわかりやすく学習できるよう配慮して指導しています。特に、触らなければわからないような場合は、できるだけ実地に触って確かめるようにします。触り方も上手な触り方とそうでない触り方がありますので、上手に触ってわかるよう、触り方の指導も行っています。
  5. Q
    Q3. なぜ、「見えない」だけでなく、「見えている」人が盲学校にいるのですか?
  6. A
     盲学校は、「見えない」だけでなく、「見えにくい」方も在籍しています。眼鏡を掛ければ見やすくなるという人は、一般的に盲学校には通いませんが、眼鏡を使っても日常生活に困る見え方があります。トイレットペーパーの芯をのぞいて見るような見え方の人や、曇りガラスを通して外を見るような見え方の人もいます。このような場合、全く「見えない」わけではないのですが、見えにくさの障害のために学習や日常生活で困っているところが多くあります。このように、まず視力と視野の問題が大きいのですが、そのほかの視機能の障害が重度で学習や生活に困難をきたしている場合も入学の対象となります。見えにくさの程度が重度で、今後回復の見込みが薄いような場合、どうすればよりよく学習し、日常生活を送ることができるのかを学ぶために盲学校に入学してくるのです。このようなわけで、全く「見えない」人ばかりが盲学校にいるのではなく、むしろ「見えるが、見えにくい」人の方が多く在籍しているということになっているのです。
  7. Q
    Q4. 重複障害の児童・生徒はいるのですか?
  8. A
     盲学校において、視覚障害以外に知的障害、肢体不自由などの障害を合わせ有する重複障害者もいます。盲学校には、「普通」学級と少人数の「重度・重複」学級があり、それぞれの実態に応じた教育課程のもとに指導がされていますが、学級に措置されたものばかりが重複障害生とは言えません。
  9. Q
    Q5. 視覚に障害があっても料理や洗濯などの家事ができるようになる生徒はいるのですか?
  10. A
     盲学校での学習により、多くの生徒が料理や家事などの日常生活動作を身に付けていきます。それぞれの家庭での努力ももちろん必要ですが、児童・生徒は自立に向けてそれぞれ生活スキルを身に付けられるよう頑張っています。
  11. Q
    Q6. 視覚障害者に適した仕事はありますか。盲学校の卒業生の進路には、どのようなものがありますか?
  12. A
     「視覚障害者に適した仕事」というものは特にはありません。ただ、歴史的にあん摩マッサージ・鍼・灸などのいわゆる三療の分野において、視覚障害者が優遇され活躍してきたという経緯があり、現在でも理療科を卒業して国家試験に合格し、国家資格を取得した方は、治療院や企業のヘルスキーパー、病院、高齢者施設などで技術を活かした仕事をしています。このように、三療の仕事は視覚障害者にとって重要な職業分野となっています。普通科を卒業して、パソコンが得意な方は一般事務、手先の器用な方は軽作業や商品管理など、視覚障害者の活躍の場は広がっています。また、仕事に必要なスキル向上のため訓練校を経て、就職する方もいます。

U 八王子盲学校について

  1. Q
    Q1. 八王子市内在住の幼児・児童・生徒は、全校の幼児・児童・生徒数の何割くらいですか。寄宿舎生にも八王子市内在住の児童・生徒は、居るのですか?
  2. A
     全校の約3分の1の幼児・児童・生徒が八王子市在住です(平成28年度)。寄宿舎の入舎理由は通学困難ということですから、たとえ近隣の居住者であっても自力通学が困難な状況であれば入舎は可能になります。また、自力通学が可能であっても困難な状況には変わりはありませんので、それで入舎が全く不可になるということにはなりません。
  3. Q
    Q2. 卒業生に対する支援はありますか?
  4. A
     八王子盲学校では、同窓会がその役割を果たしており、理療教室などいろいろな行事を企画運営することで、卒後の支援や卒業生同士の交流を図るようにしています。また、高等部卒業後3年間は就労先へ教員が訪問し定着支援を行っています。さらに、3年を過ぎた後も継続的な支援が得られるよう必要に応じて就労支援センター等に登録しています。

V 入学について

1 盲学校への入学について

  1. Q
    Q1. 急激に視力が低下したので、まだ点字が読めないのですが、入学できますか?
  2. A
     病気の状況を医療とよく相談して、視力の低下が一時的なものなのか、これからもさらに低下するのか、あるいは一定のところで止まっているのか、確認していく必要があります。視力が回復せず、見通しも立たないと確定した場合、その視力でどのように生活を組み立てていけばよいのかを考えましょう。
    視力が低下した年齢が小さい段階では、まず学習の保障が必要です。学習環境と生活とを共に組み立てていく上で、点字の習得も含め、できるだけ早い段階で盲学校に御相談いただきたいと思います。年齢の高い段階では、点字よりも前に日常生活を安全に営むためのスキルを身に付けていく必要がありますので、身体障害者リハビリテーションセンターなどで訓練を受けましょう。そのなかで点字が今後必要となれば、点字の学習も進めていくようになります。年齢の小さい段階であれば点字を学んでいくことは可能ですが、あまり高齢のかたで新たに点字を学ぶのはかなり難しい問題です。盲学校で何を学び、どのような将来像を考えているのか、十分に御相談いただいた上で、入学を考えていただければと思います。
  3. Q
    Q2. 視力が0.3ぐらい(※矯正視力)でも入学可能ですか?
  4. A
     入学に関しては単に視力だけで無く、さまざまな条件を総合的に検討して入学の適否を検討していきます。視野の問題や明暗による見えにくさ、あるいは中枢神経の問題などによって見え方に困難を抱えているケースもありますので、まずは御相談いただければと思います
  5. Q
    Q3. 目と耳と両方が不自由な人は、盲学校、ろう学校どちらに入学するのがよいでしょうか?
  6. A
     見え方や聴こえ方の状態や、生育歴の中でどちらの障害がベースとなっているかにもよりますが、どちらに入学しても、視力と聴力に関する専門的な支援を受けることが可能です。しかし、ろう学校では視覚的な支援が中心となることや、元気に走り回る子供たちも多いことから、盲学校の方が安心・安全な学校生活を送りやすいと思います。
  7. Q
    Q4. 学費はどれくらいかかりますか?
  8. A
     都立盲学校の場合、基本的に学費は無料(高等部の場合月額100円で、所得による免除は可能)です。また、特別支援学校においては、就学に必要な費用で、御家庭の収入が条件に合えば費用に補助が出る就学奨励費の制度があります。この場合、給食費、教材費、通学費、校外活動費など必要な費用につきましては、一時支払いいただいた後、補助という形になります。
  9. Q
    Q5. 給食はありますか?
  10. A
     給食は、幼稚部から高等部専攻科まですべての幼児・児童・生徒に提供されています。給食費もまた就学奨励費という補助制度の対象となりますので、収入に応じた補助が受けられます。八王子盲学校はじめ都立盲学校では、食堂で一斉に給食をとる方式がとられています。食形態が異なる場合や、アレルギーへの対応など、個別の対応については御相談ください。
  11. Q
    Q6. 地域の学校で学びながら、盲学校で専門教育を受けることはできるのですか?
  12. A
     副籍と言って盲学校に学籍を置きながら、他校(地域の普通学校)との交流で、相手校の授業や行事に加わることは可能です。また、学籍を通常学校に置いておいて、何時間か盲学校で指導を受けること(通級による指導)も可能です。ただし、盲学校は公立学校ですので、他校と二重に学籍を置くことはできません。
  13. Q
    Q7. 共働きなので送り迎えが難しいのですが?
  14. A
     八王子盲学校では自立活動で通学の自立に向けて登下校の訓練にも力を入れており、また学校で八盲サポーター(独自契約のボランティア)を御紹介できる場合もあります。自力で通学が困難な場合は、保護者か、それに代わる方による送迎が必要になります。登校支援のボランティアなど地域の福祉と御相談ください。

2 理療科(職業課程)への入学について

  1. Q
    Q1. 盲学校では、理学療法士の免許が取れますか?
  2. A
     盲学校で取れるのは、あん摩マッサージ指圧師・鍼師・灸師の国家試験受験資格です。理学療法士の国家試験受験資格の得られる課程を設けている盲学校もありますが、全部ではありません。
  3. Q
    Q2. 国リハなどの養成施設の理療科との違いは何ですか?
  4. A
     国リハ(国立障害者リハビリテーションセンター)には視覚障害者の就労移行支援部門として理療教育部が設けられています。盲学校も理療科を置くことで、これらの国家試験受験資格取得が認められています。教育内容や国家試験受験資格の取得できる点は変わりませんが、学校として「学校生活」を送りながらこれらの技術を習得する点で養成施設との違いがあるといえるかもしれません。なお、盲学校によって置かれている学科が異なるため、どの盲学校でもすべての施術師の国家試験受験資格が得られるわけではありません。
  5. Q
    Q3. 理療科の入学に年齢制限はありますか?
  6. A
     盲学校の理療科は、高等部保健理療科と専攻科保健理療科、専攻科理療科に分けられます。入学するためには「高等部保健理療科」は中卒資格、「専攻科保健理療科」「専攻科理療科」は高卒資格が必要となります。入学にはそのように資格制限がありますが、年齢制限は特にはありません。健康に学校生活を送ることができ、学習内容をしっかり理解し蓄積できる限り、入学は可能です。50代、60代といった方が10代の学生と一緒に勉強しているというのも、盲学校では普通に見られる光景です。

3 寄宿舎について

  1. Q
    Q1. 盲学校には寄宿舎があると聞きましたが、必ず入舎しなければならないのですか?
  2. A
     通学困難な場合の通学保障の手段として、寄宿舎を利用することができます。もちろん、自宅からの通学が可能な場合は、入舎の必要はありません。
  3. Q
    Q2. どのような手続きで寄宿舎に入舎できますか?
  4. A
     原則として前の年度(新入学者は入学相談の折)に入舎希望を取り、年度当初からの入舎になります。(事情により年度途中から入舎ということも可能ですが、必ずしもいつでも入舎可能というわけではありません。)入舎を希望する場合、@入舎希望書A入舎調査書に泊曜日の希望など必要事項を記入し、提出していただきます。そのうえで、通学困難の状況などから入舎の判断をします。
  5. Q
    Q3. 寄宿舎はお金がいくらくらいかかりますか?
  6. A
     入舎そのものにかかる費用は無料ですが、賄食費、生活に必要な雑費等は負担いただきます。ただ、御家庭の収入によって就学奨励費により補助が得られますので、それぞれの御家庭によって費用は変わってきます。詳しくは御相談ください。